公募プロジェクト
“奄美の危機を脱するためのアーティスト・イン・レジデンス”
奄美大島での高層ホテル建設による自然環境破壊と文化継承の希薄化を回避するため、文化芸術活動を通じて問題解決を目指す「奄美の危機を脱するためのアーティスト・イン・レジデンス」を2025年6月16日に設立しました。
世界自然遺産である奄美大島の環境文化や自然環境の特異性を広く世界の人々に知っていただくため、世界中からアーティストを奄美大島に招へいし、滞在中に制作したアート作品を国内外で発表するプロジェクトを展開します。
ご賛同いただけるアーティストの方は是非、ご参加いただけると幸いです。
奄美大島と危機
奄美大島は2021年、世界自然遺産に登録され、「アジアのガラパゴス」と呼ばれるほど多様で美しい自然を抱く島です。
古来より歌や踊り、シャーマニズムが息づき、人々は互いに支え合いながら暮らしてきました。奄美の人々は、神や祖先のみならず、海や山、動植物、ハブや妖怪ケンムン、台風や潮の満ち引きに至るまで、あらゆるものに神を見いだし、祈りを捧げてきました。自然と共に生きる中で育まれたこの「環境文化」は、奄美大島の魂ともいえるものです。
しかしいま、奄美大島では大手デベロッパーによるリゾート開発が進められています。約140世帯が静かに暮らす小さな芦徳集落の中心部に高層ホテルを建設する計画や、創世神話の神が降り立ったとされるアマンデーの山と、その神を祀るアマミコ神社を抱く節田集落で、12階建てのホテル建設が計画されています。静けさのただ中に、神話が息づく風景のただ中に、高層の建物がそびえる姿を想像するとき、私たちは「何を守り、何を未来へ託すのか」という問いを避けることはできません。
高層ホテルが建設されることで、下記のような問題が生じることが懸念されています。
・景観の破壊
・汚水による海の水質悪化と海洋生物への影響
・樹木伐採や山の掘削による環境破壊と生物への悪影響
・集落内の交通渋滞や交通事故
・地価の高騰に伴う住居問題(島から離れている学生などの若者が帰って来た際に居住できないケースが発生)
・信仰や文化の希薄化(自然崇拝や環境文化の衰退)
“奄美の危機を脱するためのアーティスト・イン・レジデンス”プロジェクトの趣旨・目的
自然環境破壊、文化継承の希薄化を回避するためには、奄美大島で育まれた環境文化(地域の人々が長い年月をかけて、自然と共生する中で築き上げてきた文化。自然を尊重し、その恵みを大切にする知恵や技術、習慣。)や自然環境の特異性を世の中の人に広く知ってもらうことが重要であると考えています。それによって奄美大島に相応しい建物や暮らしの在り方についての理解につながると考えています。
奄美大島の環境文化や自然環境の特異性の理解を促進するためには、世界中のアーティストに奄美大島の環境文化を現地でダイレクトに感じてもらい、それらを表現、可視化したアート作品を制作、発表していくことが有効であると考えています。
不動産デベロッパーによる開発は住民が知らないうちに水面下で計画され、問題視される前に工事を着工しようとします。そのような動きを阻止するために、条例を制定する、という方法もありますが、法による規制だけでは本質的な解決にならないと考えています。
世の中の人、建物を建てる人が奄美大島の「環境文化」や「自然環境の特異性」を知り、奄美大島に相応しい建物や暮らしの在り方について理解していれば、自ずと「高層ホテルを建てたい」と思う発想がなくなると思います。そのような自主性によって奄美大島の自然や文化が守られていくことを望みます。
アーティストが制作したアート作品を奄美大島の美術館や商業施設、招へいする外国人アーティストの美術館や地元ギャラリーなどで幅広く展示し、奄美大島の環境文化を地域課題と共に世の中に広く発信していきます。
<募集要項>
▼募集アーティストの組数
年間2組~5組
※アシスタントや同行者の滞在も受け入れています。
▼滞在可能人数
1棟あたり4名まで(同行者含む)
▼対象アート
視覚芸術
※パフォーマンスアートは対象外
▼プロジェクト実施時期(滞在制作時期)
毎年12月~2月
▼アーティストの滞在制作期間
2週間~4週間
▼募集時期
随時
▼参加アーティストに対しての弊社の支援内容
・宿泊施設の無償提供
・琉球ヴィラに寄贈いただく作品の材料費を全額負担
・奄美大島の主要スポットのアテンド、文化研修
・美術館や商業施設での成果発表アート展覧会の企画、設営、運営 ※アート展覧会の実施をお約束するものではありません。
・地域住民との交流イベントの企画、設営、運営 ※交流イベントの実施をお約束するものではありません。
・クラウドファンディングでのアート作品や関連商品の販売(売上をシェアさせていただきます) ※クラウドファンディングの実施をお約束するものではありません。
※下記の費用はアーティストにご負担いただきます。
・渡航費
・島内での移動交通費
・食費
・作品の材料費(琉球ヴィラに寄贈する作品以外の作品の材料費)
▼参加アーティストへのお願い事項
当施設で制作したアート作品を1点以上寄贈いただき、当施設に展示させていただきます。
▼応募条件
・本プログラムの趣旨、目的を理解、賛同したうえで作品づくりに取り組めること。
・奄美大島の文化や環境を表現したサイトスペシフィックな作品を制作すること。
・地域住民や協働する国内アーティストとの交流を積極的に行えること。
・協働するアーティストがいる場合、積極的な交流を行えること。
※当プログラムへの参加には審査があり、審査を通過した場合にのみ当プログラムに参加できます。
▼審査のポイント
奄美大島に対してのサイトスペシフィック性を重視します。

