Untitled(花器)

Untitled(花器)

展示場所:ビロウ棟、ソテツ棟
作品名:Untitled(花器)
2022  樹木の廃材

奄美大島に自生する樹木の廃材を使って作られた花器。樹種はイヌマキ。

鹿児島県では江戸時代から藩主島津氏の命によりイヌマキが植えられてきたため、イヌマキの生垣や防風林、並木道が多数見られ、ヒトツバ(一つ葉)と呼ばれ親しまれてきた。神社や寺社では樹齢数百年になる巨木も多い。

また、イヌマキは沖縄では建築材として重用され、国の重要文化財である中村家住宅に用いられ、また第二次世界大戦で焼失する以前の首里城もイヌマキを構造材としていた。しかし沖縄では第二次世界大戦後にイヌマキの植林がなされなかったため、1992 年の首里城正殿再建では沖縄産のイヌマキは使用できず、鹿児島や宮崎から調達されたイヌマキが壁材や正面向拝の四本柱に用いられた。


木工作家:今田智幸(Woodworks CUE)
1979年、奄美大島生まれ。

手掛ける作品は、ひとつひとつが唯一無二の色・形だが、いずれも丸みのあるデザインが特徴。
扱う木材は、ガジュマル、琉球松、シャリンバイ、アカギ、フクギ、イヌマキなど、すべてが奄美大島に自生する木々。流通している製材を使うのではなく、庭木や畑の整備などで伐採された木材を使用している。
木目や節、割れ目、樹脂の染みを造形に活かし、泥染めや焼きなど、さまざまな加工を施して木の魅力をふんだんに引き出している。